プレゼン資料の図解・イラストをAIで作るプロンプト実例|提案書が変わるビジュアル強化術
提案書や社内資料の「文字だらけ問題」を解決する最短ルートは、概念を伝えるイラストを画像生成AIで量産する ことです。ストックフォト探しに30分かけていた作業が、プロンプト1本・数十秒で終わります。
ただし資料用のビジュアルには独特の要件があります。資料のトーンに馴染むこと、ページ間で統一感があること、そして「正確さが必要な図」とは役割分担すること。この記事では、この3点を押さえたプロンプトの書き方を実例で解説します。
基礎の5要素フレームワークは 画像・動画生成AIプロンプト完全ガイド を参照してください。
最初に: AIに描かせる図と描かせない図
| ビジュアルの種類 | AI画像生成の適性 | 代替手段 |
|---|---|---|
| 概念イラスト(協力・成長・課題のメタファー) | ◎ 主戦場 | — |
| 表紙・セクション扉のキービジュアル | ◎ 向いている | — |
| アイコン風の挿絵 | ○ トーン固定で | アイコン素材集 |
| フローチャート・プロセス図 | ✕ 文字が崩れる | PowerPoint図形・作図ツール |
| グラフ・チャート | ✕ 数値が不正確 | Excel・スプレッドシート |
| 組織図・体制図 | ✕ 論理構造が破綻 | PowerPoint図形 |
画像生成AIが得意なのは「正確さより雰囲気」のビジュアル です。矢印や文字で論理を伝える図は、従来ツールの方が速くて正確です。
「正確な図」をAIに任せたくなったときの判断基準
境界が曖昧なケースもあります。次の質問に1つでも「はい」があるなら、画像生成AIではなく作図ツールを使ってください。
- 図の中に読ませたい文字(ラベル・数値・見出し)があるか
- 要素の並び順や矢印の向きに意味があるか
- 後から一部だけを修正する可能性があるか
- 印刷や拡大表示で細部を見られる可能性があるか
逆に、「なんとなく協業のイメージ」「導入後の前向きな空気」のように 言葉で説明できるが絵で伝えた方が速いもの は、AIの主戦場です。
なぜAI生成イラストは資料で浮くのか
生成したイラストを貼った瞬間に「浮いた」と感じる原因は、ほぼ次の3つに集約されます。
- 彩度が高すぎる: 資料の文字色・図形色より鮮やかだと、イラストが主役になってしまう
- 背景に余計なものがある: 白背景を指定していないと、グラデーションや装飾が入り、スライドの背景と衝突する
- 情報量が多すぎる: 描き込みが細かいイラストは、スライド上で「読ませる要素」と競合する
いずれも共通指定で潰せます。この記事のテンプレートに「背景は白」「影なし」「装飾最小限」が毎回入っているのは、この3点への対策です。
資料イラストの4スタイルと使い分け
| スタイル | 向いている用途 | 避けたい場面 |
|---|---|---|
| フラットイラスト | 社内資料・提案書全般。最も汎用的 | 高級感・重厚感を出したい場面 |
| アイソメトリック | システム・業務フローの雰囲気図 | 人物の感情を伝えたい場面 |
| 柔らかい3D調 | 表紙・セクション扉・キーメッセージ | ページ数の多い資料に多用すると重い |
| 手描き風・ラフ | 社内の叩き台・ブレスト資料 | 社外向けの正式な提案書 |
スタイル1: フラットイラスト(万能・ビジネス標準)
【主題】ノートPCを囲んで議論する3人のビジネスパーソン
【スタイル】フラットデザインのベクターイラスト、青系2色+グレーの限定パレット
【構図】アイレベルのミディアムショット、中央配置、周囲に余白
【描写】背景は白、影なし、装飾最小限、親しみやすい表情
【技術指定】1:1、社内資料の挿絵用、文字なし
色数を絞るのがコツです。「青系2色+グレー」のように パレットを指定すると、資料のテーマカラーと喧嘩しません。自社のテーマカラーがある場合は「青系」の部分をその色名に置き換えます。カラーコードで指定しても厳密には再現されないため、「濃い青と水色の2階調」のように 色の関係で書く 方が意図通りになります。
スタイル2: アイソメトリック(システム・業務フローの雰囲気図)
【主題】データが流れるサーバーとダッシュボード画面、それを操作する小さな人物
【スタイル】アイソメトリック(等角投影)のイラスト、テック系
【構図】斜め上から見下ろす等角視点、要素を対角線上に配置
【描写】青〜紫の寒色パレット、クリーンな面構成、背景は白
【技術指定】16:9、システム構成の概念図用、文字・数字は入れない
アイソメトリックは「仕組み・全体像」を伝える雰囲気図に最適です。ただし正確な構成図ではなく概念図 として使い、正式な構成図は作図ツールで別途作ります。要素を詰め込みすぎると何の図か分からなくなるので、主題に入れる要素は3つまで に抑えてください。
スタイル3: 柔らかい3D調(表紙・キーメッセージ用)
【主題】階段を上る人物と、頂上に輝く旗
【スタイル】柔らかい3Dレンダリング、マットな質感、パステルカラー
【構図】斜め横からのミディアムショット、左に被写体、右に余白
【描写】スタジオ風の均一な光、背景は淡い単色、浮遊感のある明るい雰囲気
【技術指定】16:9、提案書の表紙用、文字なし
3D調は目を引く反面、情報量が多く重くなります。表紙とセクション扉に限定 し、本文ページはフラットイラストで統一すると、全体のリズムが整います。
スタイル4: 手描き風・ラフスケッチ(社内の叩き台用)
【主題】ホワイトボードに描かれたような、3つの箱と人物の簡単なスケッチ
【スタイル】手描き風のラフスケッチ、マーカーペンのタッチ、線は不揃い
【構図】横並び、余白は大きめ
【描写】白背景に黒の線画+1色のマーカー。塗りは雑でよい
【技術指定】16:9、社内ブレスト資料用、文字なし
意外に使い所が多いのがこのスタイルです。完成度の高いイラストを叩き台に貼ると「もう決まった話」に見えてしまい、議論が出にくくなります。まだ決まっていないことを伝えたいとき は、あえてラフに寄せる方が場が機能します。
「伝えたい概念」をイラストに変換する対応表
資料イラストで一番つまずくのは、主題の言語化です。「シナジー」「効率化」といった言葉をそのまま入れても、AIは絵にできません。抽象語を、目に見える物と動作に変換する 工程が必要です。
| 伝えたい概念 | 主題として書く内容(例) |
|---|---|
| 協業・シナジー | 噛み合う2つの歯車/両側から橋を架ける2人/握手ではなく共同作業の手元 |
| 効率化・自動化 | 書類の山と、整理された1枚/ベルトコンベアで流れる箱/絡まった線がほどける |
| 成長・段階 | 芽から若木への3段階/階段を上る人物/積み上がるブロック |
| 課題・停滞 | 書類に埋もれる人物/絡まった糸/同じ場所を回る矢印 |
| 全体最適・可視化 | 高台から街を見下ろす人物/散らばったピースが整列する/霧が晴れる風景 |
| 選択・意思決定 | 分岐する道と立ち止まる人物/天秤/複数の扉 |
| 定着・習慣化 | 根を張る植物/繰り返し回る輪/毎日書き込まれるノート |
| 属人化の解消 | 1人の頭の中の図が、複数人に共有される様子/鍵が複数の手に渡る |
コツは、「人がその概念を説明するときに使う比喩」をそのまま絵にする ことです。会議で「この作業、糸が絡まってるような状態で」と言われたなら、それがそのまま主題になります。
なお、比喩が凝りすぎると伝わりません。資料を見る人が3秒で意味を取れるか を基準にしてください。取れないなら、比喩をやめて素直な業務風景(会議・PC作業・訪問)にした方が機能します。
シーン別プロンプト実例
課題提起のページ(Before感)
【主題】書類の山に埋もれ、頭を抱えるビジネスパーソン
【スタイル】フラットデザインのベクターイラスト、グレー基調+アクセント1色
【構図】ミディアムショット、中央配置
【描写】背景は白、彩度低めで停滞感を表現、ただし深刻すぎないタッチ
【技術指定】1:1、課題提起スライド用、文字なし
解決策・効果のページ(After感)
【主題】整理されたダッシュボードの前で、余裕の表情でコーヒーを持つビジネスパーソン
【スタイル】フラットデザインのベクターイラスト、青系2色+グレー(課題ページと同じタッチ)
【構図】ミディアムショット、中央配置
【描写】背景は白、明るい彩度で前向きな空気
【技術指定】1:1、解決策スライド用、文字なし
Before/Afterのイラストは 「同じスタイル指定・同じ構図で、主題と彩度だけ変える」 と対比が効きます。逆に、スタイルまで変えてしまうと「別の資料から持ってきた素材」に見え、対比として読まれません。
協業・パートナーシップ
【主題】2つの歯車が噛み合い、光を放つ瞬間
【スタイル】ミニマルなラインイラスト+ワンポイントの青
【構図】クローズアップ、中央配置、周囲に大きく余白
【描写】背景は白、線は細く均一、光はさりげなく
【技術指定】16:9、協業提案のセクション扉用、文字なし
成長・ロードマップ
【主題】芽から若木へ育つ植物の3段階と、それを見守る人物
【スタイル】柔らかい水彩風イラスト、緑基調
【構図】横並びの3段階を左から右へ、下1/4に余白
【描写】背景は白、優しい色のにじみ、朝の柔らかい光の雰囲気
【技術指定】16:9、中期計画スライド用、文字・数字なし
導入ステップ・オンボーディング
【主題】3人の人物が、それぞれ別の作業をしながら緩やかにつながっている様子
【スタイル】フラットデザインのベクターイラスト、青系2色+グレー
【構図】横長、左から右へ視線が流れる配置、各人物の下に余白
【描写】背景は白、影なし、人物の表情は前向き
【技術指定】16:9、導入ステップ説明スライド用、文字・番号は入れない
ステップ番号や工程名はスライド側のテキストで載せます。「下に余白」を構図で指定しておく と、文字を置く場所に困りません。
リスク・注意喚起のページ
【主題】道の分岐点に立ち、片方の道の先に段差がある風景
【スタイル】フラットデザインのベクターイラスト、グレー基調+警告色を1色だけ
【構図】引きの構図、人物は小さく、道の先まで見える
【描写】背景は白、彩度低め、深刻すぎず淡々とした空気
【技術指定】16:9、リスク説明スライド用、文字・標識なし
リスクの表現は 煽りすぎないこと が実務上のポイントです。赤を大きく使ったり、爆発・炎のような表現を入れると、提案そのものが感情的に見えます。警告色は面積を絞り、あくまで淡々と示す方が信頼されます。
顧客の声・事例紹介のページ
【主題】オフィスで打ち合わせをする2人の後ろ姿。表情は見せない
【スタイル】フラットデザインのベクターイラスト、青系2色+グレー
【構図】やや引き、画面左寄りに人物、右に大きな余白
【描写】背景は白、影なし、特定の企業や制服を想起させる要素は入れない
【技術指定】16:9、事例紹介スライド用、文字・ロゴなし
事例ページでは、実在の顧客を想起させる要素を入れない ことが重要です。特定の業種の制服やロゴらしきものが紛れ込むと、事実誤認を招きます。顔を出さない構図にしておくと、この点でも安全です(詳しくは AIっぽくない画像を生成するプロンプト を参照)。
トーン統一の実務: 共通指定テンプレート
資料全体で統一感を出す最大のコツは、スタイル・描写・技術指定を固定し、主題だけ差し替える ことです。
(資料共通の固定指定)
【スタイル】フラットデザインのベクターイラスト、自社テーマカラーの青2色+グレー
【描写】背景は白、影なし、装飾最小限、彩度は中程度
【技術指定】1:1、資料挿絵用、文字・ロゴなし
(ページごとに差し替え)
【主題】←ここだけ書き換える
この共通指定をチームのプロンプト管理ツールに登録しておけば、誰が生成しても同じトーン になります。資料テンプレートとプロンプトテンプレートをセットで整備するのが、資料品質を組織で底上げする近道です。
共通指定を作るときの決め事
一度決めたら資料が終わるまで変えない項目です。途中で変えると、前半と後半でトーンが割れます。
| 項目 | 決めておく内容 | 例 |
|---|---|---|
| 技法 | フラット/アイソメトリック/3D/手描き | フラットデザインのベクターイラスト |
| 色数 | 何色に絞るか | メイン2色+グレー |
| 背景 | 白か、淡色か | 単色の白 |
| 影 | 影あり/なし | 影なし |
| 比率 | スライドのどこに置くかで決める | 1:1(本文)/16:9(扉) |
| 人物 | 描くか、描かないか。顔を出すか | 人物あり・顔は簡略化 |
特に 「人物を描くか」は資料全体で統一 してください。人物ありとなしが混在すると、統一感の崩れが最も目立ちます。
同じ内容を動画で見る(Fitsel AI の無料AI講座) →
PowerPoint / Googleスライドでの活用手順
- 資料のテーマカラーを決め、共通指定テンプレートに反映する
- 各ページの「伝えたい概念」を一言で書き出す(=主題になる)
- 上の変換表を使って、概念を「目に見える物と動作」に置き換える
- 主題を差し替えながら一括生成し、ページに配置
- 文字が必要な図(フロー・グラフ)は従来ツールで作成し、役割分担する
- 社外資料は商用利用条件と、実在ロゴ・キャラクター類似の目視チェック
配置するときの実務メモ
- サイズは統一する: 本文ページの挿絵は同じ幅に揃えると、ページ送りで画像が跳ねません
- 文字と重ねない: 生成画像の上にテキストを重ねると可読性が落ちます。余白を確保した構図で生成し、隣に置く方が安全です
- 圧縮する: 生成画像はファイルサイズが大きいことがあります。資料をメール添付するなら、貼付後に画像圧縮をかけてください
- 差し替えを想定する: 後から直す可能性が高い画像は、プロンプトを資料のノート欄に残しておくと再生成が一瞬で済みます
資料に載せる前のチェックリスト
- 画像内に文字・数字・ロゴらしきものが紛れていないか
- 人物の手指・顔に破綻がないか(拡大して確認)
- 彩度が資料の他の要素より浮いていないか
- 背景が白(または資料の背景色)になっているか
- 同じ資料内の他のイラストとタッチが揃っているか
- 実在の企業ロゴ・キャラクター・著名人に似た要素がないか
- 使用ツールの商用利用条件を満たしているか
- 社外提出の場合、先方のAI利用ポリシーに抵触しないか
拡大確認は省略されがちですが、提案の場でスクリーン投影された瞬間に破綻が露見する のが最も避けたい事故です。特に手指と文字は必ず等倍以上で確認してください。
よくある失敗と回避策
主題に説明文をそのまま入れている
「業務効率化によってコストが削減され、社員が本来業務に集中できる状態」のような文をそのまま主題にすると、AIは要素を全部詰め込もうとして破綻します。主題は1シーン・1動作 に絞り、説明はスライドの文字で担ってください。
ページごとにスタイルを書き換えている
毎回プロンプトを書き直すと、少しずつ言い回しが変わってトーンが揺れます。共通指定はテキストとして保存し、コピペで使い回す のが原則です。
「かっこいい」「おしゃれ」で指定している
主観的な形容詞はAI絵の平均に寄る方向へ働きます。「フラットデザイン」「マットな質感」「線は細く均一」のように 技法で指定 する方が、狙った結果に近づきます。
生成しすぎて選べなくなっている
大量に出すほど良いものが出るわけではありません。共通指定が固まっていれば数枚で十分です。選定基準(破綻がない・余白がある・トーンが揃っている)を先に決めてから生成 すると、迷う時間が減ります。
権利と社内ルールの整理
社外提案書で使う場合、確認しておくと後で揉めない点を挙げます。
- 使用ツールの商用利用条件: プランによって商用可否が変わるツールがあります。契約プランごとに確認してください
- 納品物に含める場合の扱い: 制作物としてクライアントに納品する場合、AI生成物の権利関係について事前に握っておくと安全です
- クライアント側のAI利用ポリシー: 生成AIの利用に制限を設けている企業があります。大型案件では事前確認が無難です
- 社内での記録: どのツールで生成したかを残しておくと、後から問い合わせがあったときに答えられます
これらは「使ってはいけない」という話ではなく、確認の手順を決めておけば済む 話です。資料テンプレートと一緒に、確認手順もチームで共有しておくことをおすすめします。
まとめ
- 画像生成AIに任せるのは 概念イラストと扉ビジュアル。正確な図は従来ツールと役割分担
- 資料で浮く原因は 彩度・背景・情報量 の3つ。共通指定で潰せる
- 抽象語は絵にできない。目に見える物と動作に変換 してから主題に書く
- 色数・技法・背景を固定した共通指定 で、資料全体のトーンが揃う
- Before/Afterイラストは同スタイル・同構図で主題だけ変えると対比が効く
- 文字はスライド側で載せる。生成画像には描かせない
- 掲載前に、破綻・彩度・トーン・権利の4点をチェックする
共通指定テンプレートの完成度は 画像・動画プロンプト診断 で確認できます。登録不要・無料 で、どの要素が弱いかスコアで分かり、改善版が日本語+英語で返ります。
共通指定そのものは 資料・提案書の挿絵テンプレート にまとめてあります。色数・技法・背景の固定値を埋める形式なので、資料全体のトーンを揃えたいときはここから始めるのが早いです。画像プロンプトのテンプレート集 に他の用途の雛形もあります。